2012年6月3日日曜日

先日、とある展示会場でヨーロピアンビーチの家具を見てきました。
ビーチ、ブナ材ですね。
とてもきれいでした。
ブナの森は世界遺産の白神山地で有名ですが、ここ鳥取県の大山でも見かけられます。
大山中腹の車窓から見るブナ林と大山の景色というのは何度見ても飽きません。木漏れ日が差す林の中を走っていると、時に神秘的な気持ちにさえなります。
以前、飛騨高山近辺の高速道路を走ったときブナの疎林を見かけました。かなり標高の高い処だったんでしょうか、ひょろっと痩せた姿でした。秋の夕方遅く、気温も低くて少し寒々とした印象として記憶に残っています。
高山へはよく行きますが、街中しか知りません。飛騨産業(株)の社史を読むと昔は、手つかずの豊富なブナ林があったそうです。その豊富なブナ材を使って曲げ木椅子の製作が始まったのが大正9年。以来、今日まで椅子のみならず家具製作には欠かせない材料となりました。

前回ご紹介したマルニ木工の食堂椅子の例で見られるように日本では、濃色着色(ブナ材は黒い斑が出る)、椅子材料(多少の反り、狂いを加工技術でカバーできる)という形で適材化したのがブナ材です。
一方で北欧のデザイナーたちが造りだす厳選したブナ材、それこそヨーロピアンビーチをソープフィニッシュで仕上げた椅子、代表的なのがYチェアなのですが、美しい材料としてのブナ材、白木の美しさをそのままに見せるという方法は、日本では家具よりもむしろ子供の玩具、例えば積み木などによく見受けられました。

これは個人的な印象ですが、以前のブナ材の白木仕上げの家具と言うと黄色味がかったイメージがありました。それがせっかく無黄変タイプの塗料が出始めた頃にはブナ材はその地位を、ナラやタモ材に取って代わられていました。そのあたりの詳しい事情についてはよく知りませんが、近年ブナ材の新しい魅力を引出している商品が少しづつ出始めているようです。注目していきたいと思っています。

写真は宮崎椅子製作所「KUKUチェア」。ブナの蜜ろうワックス仕上げ。
こちらの椅子はすでに納品済みで見て頂くことは出来ませんが、ブナ材の椅子は他にも展示しております。ぜひご覧になって下さい。