2012年1月29日日曜日

オランダ椅子張替 完成です。

以前の革張りに比べますと豪華さが足りませんが、これはこれで落ち着いた感じに仕上がったと思います。

納品時はお引越しの最中でしたので撮影は控えましたが、天井を廻る黒色の梁と張り布の色合いがとても調和が取れていて、お客様にも満足していただけたようです。
オランダ椅子の張替 続きです。

縫製の糸を解き、型紙を作って張り布を裁断、縫製、とやれば前と同じ形に仕上がり、見た目もきれいになりますが、当店では縫製は外注に出すためご予算がオーバーします。
従いまして従来の形にはとらわれず新たに製作ということでまずは座面の板作りからスタート。

前の板より大きめに裁断した合板を5枚用意して、曲率を合わせて成型。
以前オランダ椅子の張替をしたときには曲げが深かったため、曲げ型凸凹から作らなくてはならず苦労しましたが、今回は曲げが浅いので楽でした。

この座面の板作りで思うことは、薄い板を張り合わせて曲げる「積層曲げ」でも結構大変なのに、一本の木をそのまま 曲げる「曲げ木」の技法を、例えば家具工房、ひとり親方の工房(人の手)でするのは大変だなと想像します。
飛騨高山の工場で「曲げ木」の様子は見たことがあります。大きな工場で、木を煮沸する蒸気釜、成型のためのプレス機、曲げを安定させるための金型等々。なかなか一人親方の工房では揃えづらいものばかりでした。

昨年お亡くなりになられた村上富朗さん(工房家具作家、日本のチェアメーカーの第一人者)の製作風景、設備なしにやる「曲げ木」の様子がYOUTUBEに流れています。3人がかりで「曲げ木」に取り組む姿は圧巻です。
というかその前段の手回しドリルで正確に斜めに穴を開けるシーンに正直ぶっ飛びました。
「手づくり」という言葉は広告宣伝世界の中で少々手垢にまみれた感があり避けていたのですが、それでもやっぱりこの動画をみて「手づくりの良さ」に触れることが出来てよかったと思います。
写真はオランダ製のダイニング用革張り椅子。
ご新築を機に張替えのご相談です。

深みのある色合いに塗装された重量感あふれる木部、落ち着いた光沢の本革の風合い。
テーブルは120直径の8角テーブル。
何年お使いになられたかはわかりませんが、新品には無い古びの重厚さが感じられます。

このダイニングセットをメインに据えた家造り。愛着のある家具を中心に持ってきてそこから設計を始めようというお客様の姿勢にとても共感しました。当店でお求めになられた家具ではありませんが、家具屋としては嬉しい限りです。

座面がボタン締めされていますが、そこから端に伸びる縫製ラインに沿って裂けていました。
まずはメーカーに見積もり依頼しましたが座面に関しては修理を受けれないとのこと。
当店での張替になりました。
写真は楠(クスノキ)のテーブルです。
こちらは納品例ではありません。
今春ご新築の予定のお客様にご提案した資料です。
天板サイズ180×85 厚みは65ミリ
価格は脚込みで¥198,000
決定には至らず残念でしたが、この大きさ厚みからすればお値打ちだと思います。

楠は樹相が明るく南国に映えるといいます。
この楠は九州産で、九州には楠が豊富に残っているそうで、その為かどうか、楠は他の桜、栃、ケヤキ、松等のいわゆる高級材に比べて安価です。
木目はこの写真のようにぼんやりしたものから、根っこに近いところには杢が現われたり様々ですが、今まで扱ったものの中では木色が比較的安定しておりお客様にも好評を得ています。
写真はウォールナットの食卓。
納品前のオイル塗りの様子です。
今は変哲も無い濡れ色でしかありませんが、数ヶ月経ちますと木色が赤みを帯びてきます。
さらに年月を経て濃淡が表れ出す頃には褐色のグラデーションの完成となります。
時を経ることでより味わい深く、まるでお酒の宣伝のようですがウォールナットに限らず木の家具の魅力はそんなところにもあります。

写真左上にチラッと見えてますが、食堂椅子の張替え中です。
ひっくり返した椅子の脚先に黄色いものが見えると思います。あれはテニスボールです。
フローリングの傷防止の為ですが、子供さんが昔使ってたのの有効利用だそうです。
はじめてみましたが結構かわいいですね。
新婚さんのご家庭らしい白く明るいキッチンに「どんっ」という感じで収まりました。
180巾のモンキーポットのテーブルにウォールナットのLDチェア。
LDということで少しテーブルの高さを低めています。

当店にご来店されるお客様の中で、天然木一枚板を志向されるお客様と言うのは、割と明快に自分の好みを優先される方が多くいらっしゃいます。
例えば、お部屋に似合う似合わない、通路が狭くなる云々、、、
そういうコーディネートな部分には目を瞑ること。

本当に好きな「もの」をなにより優先するその姿勢には教えられることが多いです。
コーディネートばかりに眼が奪われると、つい、「もの」が本来持っている魅力を忘れがちになるというのはやはりとてももったいないことだと思います。
写真は3人掛けソファの底を開いたところ。
白色のビニール製の力布を突き破ってチップウレタンが見えています。

ボリュームたっぷりのふかふかのソファ 。中国製で比較的安価なこともあって数年前から市場に出回っています。座ったり寝ころんだりする分にはいいのですが、ソファの上で立ったりすると写真のようなことが起きる場合がありますのでご注意ください。

修理後の写真は撮り忘れました。
白色のビニール製力布をより強いものに替えて、S字スプリングと木枠に麻糸を張り巡らせてみました。これでうまくいけばいいのですが。
写真は広島県の家具メーカー「マルニ木工」のロングセラー「ベルサイユダイニング用チェア」
20数年ご使用されたものです。
全部で6脚のうち4脚とも同じ箇所、マチ部分の縫製が裂けていました。
縫製部分というのはどうしても裂けやすく、粗悪な輸入品のソファなど中身がへたる前に裂けてしまった例もあります。
考えようによっては一番弱い部分がだめになるのに20年を要したと言えるかもしれません。

木構造と座面のスプリングはしっかりとしていましたので中身のウレタンフォームを詰め替えて
座面のみ張替えることに。
お客様のご希望でメーカー送りせず当店で張り替えました。
張り布はシンコールのアンティーク風レザー。
立体縫製はせずに、タッカー(ごついホッチキス)の留め跡を飾り鋲で隠しました。