2014年3月30日日曜日

写真は宮崎椅子製作所、UUチェア。
納品前です。
フレームはアッシュ材。
ファブリックは今、人気の新柄ART10000。
入荷待ちのものが何点かありますので、ファブリックと樹種との組み合わせ例を入荷次第ご紹介したいと思っています。
それにしても白い木ですね。
北欧系の家具はアッシュ材をソープフィニッシュや、白色顔料をオイルに混ぜて白木をより白く見せる仕上げ方もありますが、写真のアッシュは無着色です。
蜜ロウで仕上げていますのでより厳密には濡れ色になっているはずですが、それでもこの白さにはびっくりです。

アッシュ材は以前ご紹介したように白い木肌にうす茶色の年輪がくっきりと、ほど良い間隔で並んでいるところが特徴です。
ただ自然のものなので時にその間隔が間が抜けるほど広いことがあって、同質を要求される量産品を売っていくにはお客様へのご説明が欠かせません。
板幅の広いパーツを使った製品は特にそうで、お客様には事前にアッシュ材の色んな表情をお知らせするようにしています。
その点、写真のUUチェアは見えがかりを細身のパーツだけで構成してありますので、杢のばらつきの影響を受けにくいデザインと言えます。
こちらのテーブルにセッティングしたんですが、ホワイトオークとアッシュというちょっとうるさい「杢」同士の組み合わせにしては品良くまとまったような気がします。
デザインと樹種の組み合わせは微妙なものですね



2014年3月26日水曜日

写真はぺぺラウンジチェア。
フレームはブラックチェリー材。座面はオイルレザーが張ってあります。
カジュアルなデザインなんですが、素材のグレードを感じますね。
オイルレザーは革の加工の際、植物オイルをしみ込ませることで革をよりしなやかにし、自然な風合いを残したまま耐久性を持たせたものです。
とは言っても扱いはなかなか面倒で、お手入れがかかせません。
そのあたりのことはすでにオイルレザーのバッグや小物をお持ちのお客様の方がよく知ってらっしゃる場合が多く、そのことで敬遠されることはあまりありません。
この椅子に使われている革は染料染めのタンニンなめしなので余計にデリケートな素材なんですが、オイルレザーの魅力というのは替え難いものがあるんでしょうね。

家具屋で従来あつかってきた革は、どちらかと言えば量産的で無個性になるよう加工された革が多かったようです。
牛革をクロームでなめして、品質にばらつきの無いよう型押しし、実用面を考え銀面をしっかりコーティングしたタイプが多かったようです。
ヌメ革やイタリア製の革が使われている高級品もありますが全体から見れば一部でしょう。
家具に比べると衣料品や雑貨で使われている革はすごく種類が多くてうらやましくなります。
前に栃木レザーという会社をネットで検索しているうちにこんな文に出会ったことがあります。
外国に比べ日本製の革に満足できないという質問に寄せられた回答です。
Q 「日本はまだまだ技術的には追いついていない」
A それはどうでしょうか。
  私は単に、日本のメーカーから良い革を求められていないだけな様に感じます。
  よりトラブルの少ない革、よりメーカーにとって生産性の高い革の注文が多いだけの気がします。
  革の展示会が年2回浅草で開かれています。
  ここでは縛りのない、のびのびと作られた革を目にすることができますよ。

商売的にはお客様のユニークな感性が多種多様なモノ作りを支えているように思えます。

2014年3月22日土曜日

以前ご紹介した古い桐タンスの再生後の写真です。
再生前はこちら

桐は年が経つと黒ずんできます。
業界ではこれを「あく」が出ると言います。
「灰汁」のあくです。
「あい」が出るとも言います。
「あい」はどういう字を当てるのか判りませんが
暗い赤紫色に変色することがあるので
藍色の「藍」から来てるのかもしれません。

この黒ずみは桐の中の渋み、タンニンやフェノールといった成分が長い年月の間に木の表面に浮かび上がることで出て来ます。
桐の防虫効果はこのタンニンやフェノール類にあるらしいので、黒ずむことが一概に悪いとは言えません。
ただ、出来上がったばかりの桐タンスに黒ずみ、「あく」があっては商品になりません。
ということで、製材した後の桐は、まず最初に「あく」抜きの作業から始まります。

「あく」抜きは風通しの良い場所に桐の板を交互に立て掛け何年も雨にさらし、天日に干します。
風雨にさらされた桐板は「あく」が次第に浮き上がって表面は汚い灰色になりますが、ひとたび鉋で削るとその下には婚礼の白無垢姿に例えられる清潔で白い木肌があらわれます。

桐の「あく」抜きは梅雨の雨を何度もくぐらせると良いということをよく聞きます。
木工技術は先人の知恵や経験を土台にしてますので理由があっての事だと思いますが、先人はいちいちその理由を説明しないんでその辺が分かりづらいです。
当然、木の働きがすべて科学的に実証できてる訳でもありません。
最近は「あく」抜きもお湯に浸す方法が開発されて数週間で「あく」抜きが出来るようになりました。
天日干しと浸湯法の「あく」抜き効果の比較実験もされています。
まあ、コストと品質を見比べてどちらを選択するかは作り手の側にあるのですが、木(桐は草の仲間ですが)というモノの扱いは、どちらかと言えば理屈よりは経験の方が勝っているような気はします。

2014年3月14日金曜日

宮崎椅子製作所の新作ご紹介、つづきです。

たまに都会に出てみると通りを歩いている人の多さにびっくりしますね。
田舎では車は多いけど歩いている人は少ない。
当店はお客様の99%が車で来店されます。
日中、店の前を歩いて通り過ぎる人の数は10人にも満たないんじゃないでしょうか。
比較するの変ですが、さすが六本木でした。
お店の数も、歩いてる人の数も半端ないし、10人に4人は外人さんで、おまけにその外人さんですら驚くほど多様性に満ちています。
多様性が活気を生むとよく聞きますが、人の数があってこその多様性かな。
なんかそんな感じの印象を受けました。

六本木での新作発表会の帰りに浜松町の駅前で友人と会ったんですが、連れて行かれたお店はそこそこ人気なようで行列が出来ていました。
しばらく待たされて入った割りには料理もサービスも価格も普通以下に思えて、おいおいという感じでした。
勝ち残るのが良いお店という見方もありますが、残ったお店と残って欲しいお店が同じとは限りませんし、人口最小県の鳥取県では本当に良いお店ですら存続は容易ではありません。
この人気店には料理サービス価格といった本質以外のところに何かの仕掛けがあるのかもしれませんが、それだけでお店の人気を維持しているとしたら良いお店でも何でもなく、ただ東京の人口の多さにあぐらをかいているだけのような気がしますが、どうでしょう。
都会と田舎では競争の形態が違うのかもしれませんけど。
うーん、やっぱり田舎者の僻みかな。


お知らせです。
米子建築塾さんが設立10周年を迎え合同作品展を開催されます。

3月28日(金)~31日(月)
10:00 ~ 18:00(最終日は16:30まで)
米子市美術館 第3展示室にて

今回は米子建築塾としての活動だけでなく、メンバー個々の作品も合わせて展示されるそうです。
29日(土)の18:00~21:00はイオン米子駅前のガイナックスシアターで「マチ再生の思考は何をもたらすのか」と題したギャラリートークも開催されます。
ぜひ、ご覧になって下さい。
ちょこっと時間が取れそうなんで私も見にいきたいですね。

米子建築塾
八田雅章さん        八田雅章建築計画事務所
山崎和弥さん        山崎計画設計工房
タカマスヨシコさん      米子高専建築学科准教授
来間直樹さん        クルマナオキ建築設計事務所
しろえだしんさん      ぱてぃなでざいん建築設計事務所
白石博昭さん        しらいし設計室
木村智彦さん        グラムデザイン一級建築士事務所
萬井博行さん        よろい環境計画事務所
小椋弘佳さん        米子高専建築学科助教
藤原伸一さん        チームスタジオアーキテクツ

お問い合わせ 0859(33)7120 米子建築塾事務局

2014年3月6日木曜日

宮崎椅子製作所の新作ご紹介です。

昨年の11月に東京六本木のアクシスビルで宮崎椅子さんの新作発表会がありました。
「力(ちから)」を感じさせますね。
新しいことをやろうという意欲。
革新性。
モノを作り出すよろこび。
そういった前に進む「力」を感じました。
今や、宮崎椅子製作所は成熟したメーカーの一つになったと思いますが、経験にあぐらをかかない姿勢は見ていて爽快です。
若い職人さん達も巣から飛び出て活躍しているようですし、家具業界の閉塞感に風穴を開ける存在といって良いでしょう。
期待しています。

新作で眼についたのはやはり縫製の丁寧さです。
前回の新作に取り入れられた木部とファブリックの段差のつかない面構成が今回も採用されています。
その連続面をつい指でスリスリしたくなるの私だけではなかったと見えて、多くの若者たちが上から下から横から、覗き込んで説明をうけてました。
宮崎椅子さんの展示会は、どちらかと言えばおしゃれな服を着た若い人が圧倒的に多く、私のような昔ながらの家具屋おやじは場違いな感じですが、モノを見る目というのはいろんな見方を知ることで養われると思いますので、今回の新作を彼らがどのように評価したのか気になるところではあります。