2014年2月28日金曜日

写真はKITOKIテーブル。
節の入り様がおとなしめですね。
無垢の木というのは同じものが無いんで梱包を開くたびにドキドキします。

前回ご紹介した難波宮跡から出土された桂材の柱の伐採時期が七世紀前半と書きましたが、実は驚くべきことに1年単位で測定結果が出ています。
測定試料が2片あってひとつは612年、ひとつは583年です。
この記事に興味を惹かれたのは「桂」という文字もですが、1000年以上も前のことがなんでこんなに正確にわかるんだろうという疑問でした。

遺跡からの出土品の年代測定法といえばC14法が有名です。
大雑把に言えば、C14=炭素14は大気や川や草木、動物の体の中で常に一定の割合で存在している。
炭素14は放射性同位体で、崩壊していくスピードが正確なので時計の役割になる。
このふたつの特性から試料の中の崩壊した炭素14の数、もしくは残っている数を数えて年代測定する、という方法です。
ただ大昔も今も炭素14の割合が同じという前提なので、大昔のことがわからない以上色んな補正を加えないといけないせいか、ちょっと「恣意的」といわれたりもしています。
よく知られた例で縄文時代の始まりはいつ頃か?ということに関して出土品をC14法で測定した結果が、従来の考古学会の定説とかけ離れてトンデモ扱いされたこともあります。
何千年も何万年も前のことなんで、まあちょっとやそっとの誤差はあって当たり前だとは思いますが。

最初の難波宮の記事に戻ると、この柱の測定に使われた手法は炭素でなく酸素の同位体を使ったまったく新しいやり方だそうです。
実はC14法は調べててもさっぱりちんぷんかんぷんだったんですが、こちらの酸素年代法?はとっつきやすくて面白い。
木、年輪、セルロース(木の細胞の一部)、雨量、といった家具屋的には身近なキーワードを使って、シンプルかつ明快に説明されています。

と、ここまで書いて重大な間違いを発見。
この記事は日本海新聞で見つけて、朝日新聞のネット版も見ましたが、今読売ネット版を見ると出土した柱の木の種類は1本は「コウヤマキ」、もう一本は不明とありました。
47ニュース、日本海新聞をいま一度みてみると確かに「コウヤマキ」と出ています。
そうなると「桂(かつら)」と出ていたのは朝日かな、とか思いましたがすでに見れなくなってました。
うーん。
なんだか「柱(はしら)」の文字を「桂(かつら)」と見間違えたっぽいような気がしてきました。


2014年2月26日水曜日

昨日のニュースで、大阪市の難波宮(なにわのみや)跡から出土した桂材の柱を最新の年代測定法で測定したところ七世紀前半に伐採されたことが判ったそうです。
今朝の新聞を見て知ったのですが、まず見出しの「桂(かつら)材の柱」という部分に目を惹かれました。

桂の木というと碁盤、将棋盤のイメージがありましたが、碁盤や将棋盤には榧(かや)の木という最強のブランド樹種があるせいか、今ひとつピンときませんでした。
30年くらい前、桂材の婚礼タンスを扱ったことがあり、当時のお客さんは桂と聞くと「桂は良いですよね」と妙に納得されていたのを覚えてます。
それ以来、桂材の家具を目にしたことはありません。
桂の板の杢目や色味、風合いももう覚えていません。
今、ネットで「桂、材、用途」と検索すると彫刻、まな板、仏具等いろいろ出てきますね。
興味深かったのは楽器です。
1980年前後にヤマハ製のギターのボディに使われているようです。
残念ながら画像を見つけることは出来ませんでしたが、桂が使用された経緯を推測している文章がおもしろかったです。

高価なギターのボディに高級材、マホガニーが使われたりしますが、廉価品の場合代用材としてアガチスを使うそうです。
アガチスは家具でもお馴染みの南洋材で、仕上げ方次第ではあらゆる銘木の代用材になるという非常に便利な木だそうです。しかも安い。
で、そのアガチスですが日本での流通名のいくつもある中のひとつに「南洋桂」というものがあります。
見てくれはまったく別物なのに「桂」の名が付くところの胡散臭さはこの際脇に置いとくとして、実際に桂でギターを作ってしまったというのはこのアガチスに遠因があるのでは、という内容でした。
桂のギターはごく短期間に生産終了してしまったみたいです。
ヤマハのウェブサイトを見ましたが、なぜギターに桂の木を使おうと思ったのかということはわかりませんでした。
ただ、ネットを検索しながら楽器の木の種類と音色の違いについて書かれた文章のいくつかはとても魅惑的でした。
楽器の材料の代用材は見かけよりも音色を重視しているのかも、と思いました。

写真は桐タンス修理前。
すでに修理が終わってますので後日アップしたいと思います。
追記 柱の樹種は「桂(かつら)」ではなく「高野槙(こうやまき)」の間違いでした。
    2月28日のブログをご参照ください。




2014年2月22日土曜日

写真は前回ご紹介したキッチンキャビネットの真上に取り付けた同じくウォールナットの吊り戸棚。
お家の設計の段階からご相談いだだいてましたので、壁の向こう側には取り付け用の補強がしてあり無垢板の前扉の重量をしっかり支えてもらってます。
白くて明るい内装にウォールナット材のナチュラルな褐色がよく引き立っているようですね。
ここの、この場所に無垢板のウォールナット材を持ってきたいっていうお客様のこだわりがよく分かりますし、設計段階で思い描いていたイメージに近かったんじゃないでしょうか。
最初は対面キッチンの陰に隠れてせっかくのシナモノが勿体無いなあとか思いましたが、リビング側から、ちらりと見える感じが逆に高級感を感じさせてました。
ちら見せ効果ってすごいですね。
当店ではウォールナット材をけっこう扱っていますが、木の「素」の表情を重視していますので見せ方としてはナチュラルな風合いのモノが多く、「素朴」とは思っても「高級」と感じられるお客様は少ないと思います。
今回、キッチン回りということもあって木の表面をウレタン塗料で覆ったことで若干「ツヤ」と「膜」の感じが出ました。
ちら見せ効果と相まっての高級感なんでしょうか。


申し訳ありません。
ブログの更新が滞ってしまいました。
ブラウザをクロームに替えてからもいろいろ不具合が頻発しました。
ようやく元どおりになりましたので、更新がんばっていきたいと思います。

写真はウォールナット材のキャビネット。
ご新築のキッチンに合わせて作った別注品です。
かなり早い段階からご相談に来ていただいたおかげで、打ち合わせもゆっくり進めることが出来てお家の完成にも間に合いました。
当店は国産メーカー、それもわりと小さめの工場の品物を扱うことがほとんどなので、納期が一ヶ月、二ヶ月は当たり前、中には四ヶ月くらいかかってやっと納品なんてことがざらにあります。
ご新築の際、食卓セットをご注文いただいていながら、納期が間に合わないせいで古い卓袱台で何ヶ月か我慢していただくってことも以前はよくありました。
待っていただけるというのはありがたいことですね。
もっと以前は、家が出来上がるほんの数週間前ぐらいに家具屋回り。ご予算にあわせて家中の家具すべて一気に買い揃えるパターンがほとんどでした。
家具の生産、在庫、流通がそのパターンの納期に対応出来ていたということです。
まだ家具が売れてた頃の話ですね、
家具が売れなくなって在庫がだぶついてくると、国産メーカーのいくつかは規模の大小を問わず受注生産に切り替えました。
注文があってから作るので自然、納期は延びます。
納期が延びるということはメーカー自身の首を絞めることですので、大メーカーは生産管理のコンサルタントを外部から呼び、それをしない小メーカーはより付加価値の高いものづくりへ移行していきました。
ざっかけて言えば、当店に関しては小さな工場の加工に手間のかかるモノを扱うようになったことで納期がしだいに延びてきたと言えます。
ただ一方、それらの家具が手許に届くまで何ヶ月でも待って下さるお客様の意識の変化というものも見過ごしてはいけないと思います。