2012年8月31日金曜日

前回のバーチ、カバ桜のお話の中で出てきた北海道民芸家具。
つづめて「北民」の愛称で知られるブランドは日本を代表する化学企業グループ(株)クラレのインテリア部門で生まれました。
たしか昭和38年ごろのスタートだったと記憶しておりますので、約半世紀の歴史になりますね。
3年前の2009年の9月、(株)クラレはインテリア部門の事業終了を発表しましたが、紆余曲折の末、現在では岐阜県高山市の(株)飛騨産業が引き継いで、元からの北海道工場で生産を継続しています。

写真はわかりづらくて申し訳ないですが北海道民芸家具の食卓です。
お客様宅で撮影させて頂きました。
もう15、6年ご使用になっておられます。
直径が165センチの大きな天板です。
小さなお子さんだったらテーブル中央に置かれた皿には手が届きません。
こんなときには、よく中華料理屋さんで見かける直径4、50センチぐらいの小さなターンテーブルを中央に置いたりしたこともありました。
で、この大テーブルに対して、俗にキャプテンチェアと呼ばれているゆったり大きめのアームチェアが8脚つきます。
プラス、ひ孫さん用のベビーチェアが1脚。
これだけで大家族のにぎやかな食事風景が想像できますね。

このたび天板の再塗装のご希望を承りました。
当店では修理できませんのでメーカーへ送ります。
この食卓は北海道の工場で作られた「北海道民芸家具」なのですが、椅子は飛騨高山の飛騨産業の製品です。
写真を見てお分かりのとおり、例の濃色の民芸色ではなく椅子の方の色に合わせた別注色です。
このことが幸いしました。
北海道へ送るのと、椅子メーカーのある飛騨高山へ送るのではかなり運賃が違ってきます。
にしても、メーカー修理というのは決して安くはありません。
安価な新品なら数台は買える金額です。
恐る恐るお客様にお見積りを提出したところ、意外にもすぐ即決。
ちょっとびっくりしました。
修理後の写真は後日ご紹介致します。

2012年8月23日木曜日

いつもお世話になっている倉吉の荒井工務店さんの完成見学会が週末に開催されますのでお知らせします。
8月25日(土)26日(日)、倉吉市の生田というところです。
詳細は荒井さんのホームページをご覧ください。
荒井工務店さんは以前ご紹介したことがありますが、どちらかと言えば今回のようにふんだんに木組みを見せるほうが荒井さんらしいですね。

上の写真は撮影のためにセッティングした家具です。
当日は村澤一晃さんデザインの食卓セットを持ち込む予定にしておりますので、興味のある方はご覧頂けたらと思います。

2012年8月18日土曜日

以前ご紹介したまま投げっ放しになっていた浜本工芸のソファ張替え後の写真です。
手前は2人掛けで、向こうにあるのは片肘1人掛けを並べたものです。
ブルー系の張り布がお好みだったようで、アームチェアも同じ張り布で張り替えました。
今の季節、とても爽快な印象ですね。

2012年8月17日金曜日


バーチ材続き。

色を冠した木の名前の由来というのは様々です。
例えばブラックチェリーは生じる果実の色。
アカマツは樹皮の色。
パープルハートは木を割った時の心材の色。
わかりやすいですね。
で、バーチ。
アメリカ北東部に産するのがイエローバーチ。
イエローは樹皮から来ているのですが、そのイエローバーチの木を割ったときの白い部分がホワイトバーチで赤い部分はレッドバーチとも呼ばれるそうです。こちらは材色に由来するタイプのネーミングですね。
 アルファベット表記の「WHITE BIRCH」は白樺(シラカバ)のことも意味しますので、ちょっとややこしいのですが、シラカバは家具材料として使われることはほとんどありませんのであまり間違いはありません。

イエローバーチは、日本でこれに相当するのが真樺(マカンバ)だと言われています。
ですので大雑把に言えば家具材料としてのバーチは、赤身を基本除くと、イエローバーチ=ホワイトバーチ(白身)=マカンバという感じでイメージされています。
ふつう真樺(マカンバ)は樺桜(カバザクラ)の名称のほうで知られています。
カバザクラの名称のせいでサクラの一種と勘違いされることがありますがサクラではありません。
有名なところでは北海道民芸家具に使われている材料です。
塗料の吸い込みムラを利用した濃色の着色が特徴ですがマカンバは白くてとても堅い木です。
北海道民芸家具は硬質な材料を気品のあるデザインで仕立てた美しい家具ですね。

当店では北海道産の白樺を無着色のままオイル仕上げした学習机を展示していますが、マカンバと比較するとかなり柔らかい印象です。まあ、その柔らかさがナチュラル感を醸し出しているのかもしれませんが。

写真はバーチ材のチェスト。
ぼんやりとした木目と均質な色合いの中でワンポイントのウォールナットの「契り」が効いています。
前回ご紹介したデスクともども最近人気の樹種ですね。




2012年8月16日木曜日

写真はバーチ材のデスク。
奥行きは45センチで長さは170センチの細長い天板です。
写真では見えてませんが引き出しが3杯ついてます。
セッティングする椅子は35センチ角の布張り回転スツール。
脚部はメープル材ですがバーチ材との相性は悪くありません。
3脚並べていますので、子供さんが3人並んで夏休みの宿題に向かうのにもってこいの大きさ感でした。
こちらの窓は南に面しているようでお母さんは焼けの心配をされていましたが、午前中の光あふれる中で見るバーチ材の白さと言うのは格別なものがありました。机に向かう子供さんの記憶の片隅にでも残ってくれると嬉しいですね。

バーチ材をご紹介するのは多分初めてだと思うので次回、材料としてのバーチのお話を。

2012年8月6日月曜日

写真は飛騨産業「AZAMI」チェア。
こちらの商品の特徴は以前ご紹介したことがありますので、ここでは張り布について。

張り布の選択は悩ましくも楽しい作業、と前に書きましたが、お客様とお話しする中で最近の売れ筋だとか傾向といったようなことをお話させて頂くことがたまにあります。
これ自体はお客様の「悩ましくも楽しい作業」に水をさすようなもので、アドバイスでも何でもないです。
お客様がご自身の選択に99パーセントの決心と1パーセントの不安を感じていらっしゃるような場合の背中の一押しみたいなものですね。
例えば赤系の張り布を選ぶお客様に、最近の傾向として赤系を選ばれるお客様が多くなっていますよ、の一言が不安を和らげる、かもしれませんしそうでない場合もあるでしょう。
そうでない場合は要らざる一言になりかねませんのでやっぱりその辺は慎重にしたいですね。


以前、お店の展示がブラウン系1色になった時期がありました。
どちらかと言えば無難な配色に落ち着くお客様が多かったせいもあり、お店として全体のバランスへの配慮を欠いていた為もあります。
最近の傾向を言えばやはり赤系の張り布を選択されるお客様が増えている印象です。
赤系の張り布の生地や柄が良くなったせいなのか、赤系を好むお客様が増えてきた為なのかは今のところちょっとよくわかりません。


2012年8月5日日曜日


ナラ材のTVボードが入荷しました。
サイズは180センチ幅。
見えがかりはすべてムクのナラ材。
内装はツキ板です。
向かって左が引出しで、右はAV機器用のオープンスペースになっています。
AV機器のリモコン操作は前扉をスライドさせて行うことになりますが、これが面倒な場合、扉を開けっ放しでも格好が悪くならないところがこちらの商品のデザイン上のポイントです。
シンプルモダンな木の家具というコンセプト通りの商品ですね。

写真はコスガのアームチェア。張替え後の写真です。
張り替える前の張り布は鹿とバラのサンダーソン柄だったのですが、ソファの張替えも同時にご注文頂いてました関係上、ソファの柄に合わせることになりました。
ちなみに張替え前の写真はこちら。

もともとオリジナルの方は、クラシックスタイル風に座面中央が盛り上がるクッションの詰め方がしてあったんだろうと思いますが、今回はクッション材をフラットに載せて包んでみました。
伸縮性のない張り布でしたので使いくたびれた感じが出ないよう、少し硬めの詰め物を入れてギリギリまでテンションをかけて張り込みました。
お客様のご希望通り、座ったときのお尻の沈みの少ないかっちりとした座り心地になりましたが、これが長年使ってもへたりの少ない長持ちするやり方かどうかまでは正直よくわかりません。

ウレタンフォームと言う画期的な素材が家具に使われ始めて約半世紀。椅子やソファのクッション材としてあまりにも優れていた為に、あまりにも長く頼りすぎた、という反省の声が業界内で何年も前からありました。その時には聞き流していたのですが、こういったことも含めてこれから色々とウレタンについて勉強していきたいと思います。