2013年6月11日火曜日

ブラックチェリーいろいろ その3

写真はKITOKIのWK06テーブル。
こちらはAHEC、アメリカ広葉樹輸出協会仕様のキャラクターマーク入りのブラックチェリー材です。
キャラクターといっても「ゆるキャラ」とはちょっと違って一本一本の木の「個性」と思ってもらったら良いかもしれません。
個性が強すぎれば万人に向きませんし、量産品というのは個性を取り除くところから始まるのでしょう。
その一方、一品物(いっぴんもの)を作る木工作家と呼ばれる人たちは、木の個性を上手に生かしたもの作りをしていますね。
たとえばこちらなんか
当店の扱う家具は一品物でなく、どのお客様がお買い求めになられても、一定の品質を揃えることを前提とした量産品ですので、天然自然の「個性」をお客様がどう感じるかが大事になってきます。
キャラ入り材は材木の歩留まりを高めることで森林の有効利用、促進を図る意味合いがあるのですが、製品の出来栄え、特にキャラの入り方をめぐってはお店の側からみるとなかなか難しいところもあるようです。
今から12年前、岐阜県高山市の飛騨産業が意図的に節あり材を使った家具、「森のことば」シリーズを始めました。
家具業界としては画期的な出来事だったと言われています。
当初は節の大きさ、配置などをあらかじめ決められたガイドラインに沿って製作していましたが、そこは天然自然のもの、ガイドライン通りというわけにいかないものも出てきます。
ガイドライン自体が審美的というか、節の入り様の美的な価値判断を内包していたせいで、量産品でありながらひとつひとつの製品の良し悪しをどうしても感じてしまうことがありました。
自然のものだから致し方ないと言えばそれまでですが、本来的なコンセプトである材木の歩留まりを高める、今日風に言えば「エコ」な視点がともすれば忘れがちになったことへの反省もふまえて、いま一度しっかり「木」について学んでいかないと、と思っています。



2013年6月10日月曜日


当店は「シンプルモダンな木の家具のお店」を看板にしていますが、たまにはこんな納品例も。
こちらの商品は店頭には並べておりません。
テレビを乗せる台を探しておられたお客様にカタログをお見せしたところ、ひと目で気に入ってくださいました。
お客様と私どもの感覚がすり合わさった感じですね。
で、お客様の要望に沿って少しばかり仕様を変えて製作いたしました。
カタログ販売で、しかも別注というのは、お客さま以上にお店にとってドキドキものです。
お客様のお宅に納品して、お客様の感想を聞くまで気がゆるめられません。
おかげさまで気に入ってくださったから良かったものの、もしそうでなかったらどうしようかというところです。
まあ、普段の仕事でも薄氷を踏むが如き気持ちでいなくちゃならないんでしょうが。

このTV台?を製作したのは九州、大川の「松岡漆工」さん。
漆工、蒔絵の細工モノでスタートした松岡さんは、かなり以前から和モダン家具のジャンルで独自の地位を築いてこられました。
たとえば写真のように「数寄屋貼り」と呼ばれる大木の年輪を薄くスライスして貼り付ける技法に見られる技術とオリジナリティの高さ。
ちなみに写真の年輪は楠(くす)の木。
前の頃は欅(けやき)の年輪を使ってました。
欅の良材が無くなって楠の木に変更されたそうですが、欅はどちらかと言えば派手な印象がありますので、バブルの頃ならともかく今では楠の木のちょっとくすんだ色合いのほうが今っぽい感じで個人的には好きです。

2013年6月4日火曜日

先日広島へ行く用事がありまして、そのついでに宇品のフレックスギャラリーさんへ行ってきました。
広島へは高速道路を使わず国道を走りましたが山陽の山並みと言うのは明るくて良いですね。
そう言えば中国地方各県の人工林率を鳥取県の統計課が発表していました。
広島県の人工林率は33パーセントで中国地方の中では最下位でした。
手付かずの自然がいっぱい残ってるって解釈すべきなんでしょうか?
ちなみに鳥取県は54パーセント。
全国平均が41パーセントで、人工林率の高いのは日照条件の良い太平洋側が多く、日本海側で50パーセントを超えるのは鳥取県だけです、と自慢まじりの記事でした。
それはともかく、こちらのフレックスギャラリーさんは瀬戸内海に面した物流倉庫街の一画にあり、店内からは青い空と海、真っ白なフェリー船が見えたりしてすばらしいロケーションでした。
倉庫を改装した3つの並び店舗で構成されていて、フレックスギャラリーさんはその真ん中、隣がアクタス広島店と最近出来たばかりの雑貨のお店です。
アクタスさんのお店っていうと当たり前のことながら当然アクタス色が強いわけですが、隣接する2店舗がアクタスとは微妙にテイストをずらしているところが楽しめます。
噂には聞いていましたが平日だと言うのにお客さんの出入りが絶えません。
商売的な立地としては、ここのお店を目指して行くしかないっていうような場所柄でしたのでよけいにすごいですね。
広島へ行く機会がありましたらお寄りになってはいかがでしょう。
カフェが併設されていますので、日本海とは違って穏やかな瀬戸内の海を眺めながらのコーヒータイムも楽しめます。