2012年10月26日金曜日

当店が大変お世話になっている「よろい環境計画事務所」さんのオフィシャルブログをリンク欄に掲載しましたのでご紹介します。

基本、建築インテリア家具などのお話が中心ですが、時折はさまれるグルメ記事は必見。
知る人ぞ知る隠れた名店を、美しい写真と愛情たっぷりのコメントでご紹介されています。
これから家を建てようと思っている人も、そうでない人もぜひご覧になって下さい。

その萬井さんのブログで取り上げられていた「ピンカド」という木について初耳なのでちょっと調べてみました。
萬井さん設計の「西福原オフィス」の外装にコンクリートとのコンビネーションで使われている木です。
ブログでは別名アイアンウッドとも呼ばれると書いてありました。
「アイアンウッド」。
文字通り鉄の重さと硬さと耐久性を持った木の総称です。
「鉄刀木」、「セラガンバツ」は家具屋にも馴染み深い種類です。水に沈む木と教わりましたし、実際に手にして重さは体感しています。
フローリング、デッキ、歩道用材の「ウリン」、「イペ」、「ピンカド」は知りませんでしたが、「イペ」だけはホームセンターの木材売り場で手にしたことがあります。
「えっ、」と思うほど桁外れの重さです。
黒褐色の木色が日光と風雨にさらされて灰色に変わるPOPの写真が付けてありました。
都会のちょっとおしゃれな商店街の歩道を赤レンガから「イペ」に代えた様子の写真でしたが、灰色がとても街並みに馴染んでました。

次回も「アイアンウッド」について。
デザートアイアンウッド、砂漠に埋もれた木のお話です。
写真はヴェトナム。「イペ」の立木姿です。



2012年10月24日水曜日

写真はナガノインテリア工業(株)の食堂椅子。
27年前にご購入されたものです。
正確な数字を覚えてらっしゃるところに思い入れを感じます。
座面の張替えのご依頼でした。
大事に使われていたようで座面には汚れ一つありませんでしたが、膝裏が当たるところのクッションがヘタったせいで合成皮革の張り地が直接、台座の角に擦れて裂け目が出来ていました。
木部のフレームはさすがにところどころ色が剥げてましたが、色落ちの具合がアンティークな感じで良かったので、こちらは手をつけずにおきました。
あと、接合がゆるんでいたところがあって少しぐらぐらしていましたので締め直ししました。
締め直しはいったんバラして古い接着剤を落としてから再接合するのですが、場合によっては、ゆるんでない箇所までバラす必要があります。
かちかちに堅く締まった部分をバラすのは勇気がいります。
なんともなってないところをバラそうとして逆に壊してしまった昔の悪夢がよみがえります。
こんなときは思い切りが大事だと言われていますが、なかなか そのようにはいきませんね。


2012年10月23日火曜日

写真は節ありオーク材のチェスト。
もともとは左の黒い鉄枠フレームの上に乗っかっていました。
コンソールタイプのチェストですね。
今回はお客さまのご希望で、写真のようにバラして使用することに。
ナットを埋め込んだ24ミリ厚の節ありオーク材の天板をこしらえて、鉄フレームの上に載せて下からボルトで緊結します。
こちらはテレビ台としてお使いになるご予定ですが、ベンチでも良いぐらいの頑丈さでした
チェストはチェストとしてご使用になります。
チェストの底には以前ご紹介した台輪を同じく着脱可能な方法で取り付けました。
着脱式にしたのは将来、もともとの形に戻すことを想定してのことです。

オーク材は黄変し易くオイル仕上げに不向きとする見方もありますが、黄変して以降も年数を経ることでご覧のように深みのある色合いに変わる場合もあります。
こちらのチェストは当店で10年以上色の移り変わりを見続けてきました。
ようやく味わい深い木色になった頃にお買い上げ頂いたので、嬉しさの反面、ちょっと未練な気もしています。









2012年10月20日土曜日


前回のストラディバリウスのお話の中でちょっとだけご紹介したジェームズクレノフ氏。
現代最高のキャビネットメーカーと言われています。
その彼は一昔前、日本に来たことがあります。
信州かどっかで木工セミナー、最近の言葉で言えばワークショップが開催され、全国から多くのウッドワーカー達が集まりました。
そればかりという訳ではないでしょうが、日本のウッドワーカーにとっては「クレノフ」の名は尊敬と憧憬を込めて語られることが多いです。
うらやましいですね。
残念ながら私にとっては「クレノフ」の名はネット上の2次、3次の知識です。
リアルタイムな共感は持てませんが、ネット上では彼についての色々な情報を読んで楽しむことが出来ました。
ちょっと長いですがこちらの記事なんかが良さそうなのでご紹介しておきます。
ご興味のある方はどうぞ。

クレノフとくれば「サムマルーフ」について触れておかないわけにはいけません。
ともに日本のウッドワーカーにとっては匠(たくみ)あるいは師匠的な位置付けです。
二人とも活動の場がアメリカでした。
さすが木工先進国アメリカと言いたいところですが、このあたりのお話に首を突っ込むと長くなりそうなので止めておきます。

写真は長さ2.1メートルのオランダ製食卓。
20年位前にお求め頂いたものです。
このたびキッチンのリフォームを機に天板塗り直しのご依頼がありました。
メーカー送りせず当店での修理をご希望されましたので、せっせと古い塗膜を剥いでいるところ。
再塗装後の写真は後日アップしたいと思います。

2012年10月11日木曜日


最近「ヴァイオリン名器差し押さえ、再びドイツ税関で関税一億二千万円支払え」というニュースを読みました。
ドイツ在住のバイオリニスト、有希・マヌエラ・ヤンケさんが日本での演奏会を終え、帰国した9月28日にフランクフルト空港の税関に差し押さえられた、とのことです。
差し押さえられたヴァイオリンは日本音楽財団がヤンケさんに貸与したストラディバリウス。
ですので関税云々は言いがかりも同然なのですが、EU通貨危機の中でのピリピリした雰囲気が伝わってきます。
8月にはベルギー在住の堀米ゆず子さんも同じ目にあっています。
ヤンケさんも堀米さんも後日、無償で返却されたようですがとんだ災難ですね。
そのヤンケさんが日本で参加した演奏会が「ストラディバリウスコンサート2012」。
コンサートの模様はスタンディングオベーションが出る盛況ぶりだったそうです。

クラシック音楽にさほど関心がない私ですが、ストラディバリウスにまつわるニュースが続いたこともあって少し興味を覚えました。
ヴァイオリンの製作と言うのは歴とした木工の世界です。
それでいて楽器製作の世界、知識や情報というものに疎いままでした。
ちょこっと調べただけでそそられること、そそられること。
「ストラディバリウスの音色の秘密は特殊なニスにあるとされてきたが、そうでない事が実証された」
「18世紀当時の木工技術より楽器に対する科学的な研究の進んだ現代の方が優れている」
「ミクロン単位で実測して限りなく本物に近い寸法の複製を作る技術はあるが音色は再現不可能」
「木の経年変化が音色に与える影響とは何か」
「ストラディバリという人は木と対話する能力がずばぬけていた」

刺激的なタイトルが連なってしばらくハマリそうな予感です。
最後の「木と対話する能力」云々は家具の世界で言えばこの人
James Krenov。
腐朽菌の害で変色した木を表に使う斬新さ。
ユニークってこういうことを言うんでしょうね。

2012年10月6日土曜日



写真は宮崎椅子製作所「 hata 」チェアの笠木、背もたれ部分です。
材はウォールナット。
当店でこれまで購入して頂いた「 hata 」チェアはすべてブラックチェリー(展示もブラックチェリー)でしたのでウォールナットは初めて見ました。
いいですね。
造形に負けない質感、とでも言えばよいのでしょうか。
しっくりくる感じです。

木の色味とか木目をどう感じるかは個人的な主観、好みだと思います。
ウォールナット材の風合いを好む人の数が多いので、ウォールナットは市場の需給を通じて価格の高い材料となっていますが、例えばもっと明色の穏やかな木目を好むお客様にとっては、ウォールナットは価値の低いものとなります。
流行や価格が価値を決めるのではなく、一人の個人の心の中で価値が決まる。
とかく大量の情報が溢れかえるネット社会の中で、見失うことなく自分の「好み」と向き合えることはとても大切ですね。








2012年10月4日木曜日

写真は製作中の台輪。
台輪とは箱物の家具を一番下で支える大事なパーツです。
オーク材の端材から作りました。
これからオイルを塗るところです。

いつもお世話になっているお客様から依頼されました。
こちらのお客様とは一昨年ご自宅を新築されてからのおつきあいですが、木の家具が好きなだけでなく、センスや情報がとても豊富でいつもいろんなことを教えてもらっています。
今回もユニークな発想で、あるお買い物をして頂きました。
写真の台輪はこれに使います。
後日ご紹介したいと思います。



2012年10月3日水曜日

当店で扱っているブラックチェリー材の塗装はオイル仕上げか蜜ロウワックス仕上げの二通りです。
ご希望によってはウレタン塗装も可能ですが、選ばれる方は少ないです。
昨年は一件だけ、食卓を購入されたお客様がウレタン塗装を選択されました。
子供さんがまだ小さいから汚されるのが目に見えるという理由からでしたが、先々ではウレタンを剥いでオイル仕上げにしたいな、と仰ってました。
その節にはぜひお手伝いしたいと思います。

今年はまだウレタン塗装はありません。
それぐらいブラックチェリーという材料は木そのものの風合いが魅力ということなんでしょう。
その木味を生かすのがオイルや蜜ロウです。
当店が使っているオイルはリボス社のカルデットクリア。
蜜ロウは小川耕太郎百合子社のワックス入りのもの。
発色の良さでは蜜ロウ、塗りやすさということではオイルでしょうか。
白木地のときのほんのりピンクがかった木肌が濡れ色に変わる瞬間と言うのは、いつ見ても感動します。

写真は宮崎椅子製作所、ぺぺラウンジチェア。
ブラックチェリー材。
張り布は以前ご紹介しましたオイルレザー
写真の色味はRGBの数値で言えば「潤朱(うるみしゅ)」ですが実物は「柿色」に近い明るい感じです。
こちらの椅子はすでにお客様宅へお届けして店頭にはありませんが、同色のオイルレザーを張った他の椅子がありますので風合いはご覧頂けます。