2012年12月6日木曜日

当店は「木の家具のお店」を看板に謳っているせいか、ご来店頂いているお客様も木味、木の風合いを大切にされる方が多いような気がします。
それも木目や色味をきれいに揃えたツキ板よりは、多少バラついたにしても無垢板のほうに「木」らしさを感じる傾向が強いように思います。
無垢の家具中心の品揃えをしている当店にとってはありがたいことです。
で、当店としては、無垢板の長所短所をお客様にご説明することになるのですが、無垢板の物的な性質とは別に、外観のデザイン上のポイント、木の見せ方的なものもあわせてお伝えする場合があります。
特に近年デザインの趨勢がシンプルモダンということもあって、無垢板の「重い」見栄えがデザインの妨げになるケースもあり、そうした時のディテールの処理の仕方なんかをお話させてもらっています。
例えば写真の4Dキャビネットは天板、側板、前扉、台輪、見えがかりの部分はすべてウォールナット材、20ミリ厚前後の無垢板で製作されています。
20ミリというのはさほど厚い材料というわけではないのですが、それでも木口=部材の厚みを見せないデザインにすることで、無垢板の持つ「重さ」を消し、かつ素材をよりシンプルに見せるという処理になっています。
素材をよりシンプルに見せる、というのは実は痛しかゆしで、素材の良し悪しが、もしくは好みがはっきりと出やすくこの辺りはちょっと難しいところかなと思います。
モダンさという点では、扉と扉の隙間を、木の動きを考慮しつつ最小限にとどめることで、ウォールナットの素材の連続性を感じさせること。
それから最下部の台輪を奥に引っ込めてキャビネット本体の浮遊感、「軽さ」を演出しているところ、なんかでしょうか。

こちらのお客様、別注品ではなく店頭に並んでいる商品をお買い上げ頂いたのですが、まるで誂えたかのようにぴったりと納まりました。