2012年12月8日土曜日

写真はkitoki。
小泉誠さんデザインのWK06テーブルです。
前回ご紹介したのと同じものですが、天板の表情が判るように接写してみました。
クリームを塗り込めたようなしっとり感と自然な光沢が見えますでしょうか。
木の魅力を活かしたオイル塗装ならではの仕上がりだと思います。
こちらのテーブルを製作したのは広島県府中市の若葉家具さん。
婚礼家具で有名な府中のメーカーで古くからお世話になっています。
当時、府中の婚礼家具メーカーは、箱を作ることに関して自他共に認める精巧な技術を誇っていました。
タンスの引き出しを閉めると他の引き出しが出てくるっていうやつですね。
(閉まっている引き出しを開けると、他の開いている引き出しが閉まるという言い方のほうが正確ですが)
ただそれ以上に「府中家具」の名を高からしめたのは、家具の塗装技術だったということは一般の方はご存じないかもしれません。
各メーカーが競い合って独創的な色を生み出し、それぞれの会社名を冠した○○色と呼ばれていました。
そこには真似したくとも真似できない「秘中の秘」ふうな調色のエッセンスがあったんだと思います。
当時のオリジナリティ溢れる状況がそのまま現在まで受け継がれていたらどうなっていたんだろうと思います。
はかなくも婚礼産業の衰退とともにあの当時の熱気は消えてしまいましたが、逆に現在の多様化した「好み」に自然に寄り添うかたちでオリジナルなものへのこだわりは残っているのかもしれません。