2012年12月29日土曜日

前回ご紹介した「HIROSHIMA」チェアは、後傾の強い座りですので業務用としてはラウンジチェアタイプなのかもしれません。
食事後、席を変えてのコーヒー煙草アルコールを楽しむ為の、くつろいだ座り心地といった感じでしょうか。
写真の椅子は逆に食事の為のレストランチェアタイプ。
姿勢正しくナイフや箸を使うのに適した座りになっています。
このように椅子にはそれぞれ使用目的に合わせた座り心地があるべきだ、というのが一応の正論になっています。
が、世の常で正論通りに物事は進みません。
たとえばオールインワンということが昔から家庭用の椅子作りの悩みの種になっています。
食事をするのも、くつろぐのも、作業(勉強)するのも同じ一つの椅子で可能な座り心地というものが一つの到達点、理想だとする根強い要求となって椅子作りの方向を無用な迷路に落とし込む状況でしょうか。
日本の椅子メーカーは日々、あちら立てればこちら立たずの矛盾と向き合っています。
無用な迷路とは書きましたが、このことが予想外の良い効果を生み出すのかも知れません。
日本らしさですね。

向かって左側が張替後です。
けっこう硬い合成皮革でしたのでヒダを寄せるのが大変でした。