2012年9月1日土曜日

以前ちょっとご紹介した月刊誌「室内」。
今から6年ほど前に廃刊となりました。
写真は通算615号、2006年3月の最終号です。
半世紀に渡ってインテリアから建築まで幅広い情報と知識を提供し続けてくれました。
ネットの普及していない時代、これだけの内容を持った雑誌はちょっと他に無かったんじゃないでしょうか。
なかでも嬉しかったのが月間スケジュール。
国内外の有名無名のアーティストの個展からフランスベッドの展示即売会まで、全国で開かれるイベントの模様が一目でわかるようになってとても便利でした。
いや、実際そのイベントの数々に足を運んだことはありませんでしたので、見て楽しい予定表といった感じかもしれません。
廃刊は本当に残念です。
「室内」の編集兼発行人はもう亡くなられたコラムニスト山本夏彦さんです。
亡くなられて以降も数年続いたようですが上記の通り廃刊となりました。
廃刊となった理由はよくわかりません。

今ちょっと、正確には思い出せませんが山本夏彦さんはこのようなことを言っておられました。
私の目の黒いうちはこの雑誌は私のものだ、というようなことです。
個人で経営する出版社が発刊する個人色の強い雑誌、というふうに私は感じました。
個人商店である当店としては、ついそちらに受け取ってしまいました 。
違っているかもしれません。
実際、「室内」は法人格である株式会社工作社が発刊し、誌面も終わりの方の2ページ山本氏の文章「日常茶飯事」以外に夏彦色は感じられません。
年々、写真を多用したグラビア雑誌化し、タイトルも当たり障りのないこと他と変わりありません。
そういえば「室内」の実質的な編集長であった岡田紘史さんが辞められて以降、山本夏彦さんが陣頭に立たれた時期がありました。
巻頭特集のタイトルが「ハウスメーカーに騙されるな」。
久々に「室内」らしい記事に反響も大きかったようです。
「室内」らしさ、が夏彦らしさだとしたら副編集長の岡田さんも色々気苦労があったかな、と想像します。
文庫本の解説ページの収録をひたすら拒否していた山本夏彦さんでしたが、亡くなられてからの新版にはこの岡田さんが書かれた解説があるそうです。
興味深いですね。
岡田紘史さんは工作社在籍当時は家具業界の集まりなどで講演されることもありましたが、辞められてからは美大の先生になって本を書いたり、もっと別の集まりでの講演とか、縁遠くなってその名前もしばらく忘れていました。
最近ひょっと見た建築家のブログでお亡くなりになっていたことを知りました。
ちょっと懐かしくなってこの稿書きました。